新村 延世スター皮膚科では、長年自傷痕、すなわちためらい傷で苦しんでいらっしゃる方々を診てきました。特に思春期の青少年から成人まで、様々な年齢層の患者様がいらっしゃいます。20年以上ためらい傷を治療してきた皮膚科専門医は、どのような気持ちで患者様と向き合い、治療過程で何を最も重要だと考えているのでしょうか?正直な話を通じて、ためらい傷治療に関する疑問を解消します。
ためらい傷と向き合う皮膚科専門医の気持ち
患者様と初めてお会いすると、まず心が痛みます。子供を育てる親の立場から、どれほど辛く、心が苦しかっただろうかと察します。しかし、過度な感情移入は治療に逆効果となる可能性があるため、患者様に必要な現実的なサポートを提供することに集中するよう努めています。
ためらい傷の患者様、どのような年齢層が多いですか?
ためらい傷で病院を訪れる患者様は、10代から30代まで様々です。最も多い年齢層は中学生の頃、つまり15歳前後と見られます。感受性が強く思春期を経験する時期に多く現れ、稀に小学校3~4年生から始まるケースもあります。20代を超えるとやや減少しますが、依然として治療のために来院される方もいらっしゃいます。
性別の分布を正確に調査したわけではありませんが、診療経験上、女性患者様の割合が男性の2倍以上多いようです。
ご両親の痛ましい気持ち
お子様のためらい傷を後になって発見し、痛ましく思うご両親も多くいらっしゃいます。お子様はむしろ淡々としている場合もありますが、ご両親はほとんどが非常に苦しんでいらっしゃいます。古い傷跡なのに数日前に知ったというご両親は、お子様が苦しんでいることを知らなかったという罪悪感にひどく苦しむことがあります。
ためらい傷治療、何が最も重要ですか?
ためらい傷治療で最も重要なのは、患者様との信頼を築き、協力を得ることです。ためらい傷を持つ方はうつ病を伴うことが多く、非協力的であったり、孤立しようとする傾向が見られることもあります。このような方々が定期的に病院に通院するように導くのは容易ではありません。
また、ためらい傷治療は1~2年、ひどい場合は3~4年かかることもある長期的なプロセスです。短期間で効果が見られないと失望して治療を諦めてしまう可能性もあるため、この点を最も重視しています。
- 信頼形成: 患者様が医療スタッフを信頼し、心を開けるようサポートします。
- 治療協力: 定期的な通院と治療計画の遵守が重要です。
- 長期的な視点: 短期間の結果よりも、継続的な治療が必要です。
治療が順調に進み、傷跡がかなり改善されたとしても、再び自傷行為をしてしまうと、それまでの努力が無駄になってしまう可能性があります。このような痛ましい状況を防ぐため、当院では可能な限り精神科治療も併せて受けることを積極的に推奨しています。
ためらい傷治療に対する現実的な期待と目標
多くの患者様が「どの程度まで良くなるのか」を最も疑問に思われます。インターネットで情報を調べて来られた方は、傷跡治療が現実的に難しいことを知っているため、「できるだけ目立たなくなればいい」と期待されます。一方、情報なしで来られた方は「跡形もなく消えることを」期待されることもあります。
当院がカウンセリング過程で最も重要だと考えているのは、患者様の期待値を現実的な目標に合わせることです。最終的な治療目標は以下の通りです。
- 一見してほとんど分からない程度
- 将来、社会生活を送る上で問題にならない程度
- 適当にごまかせる程度
このような目標を持って、根気強く治療に取り組むことが重要です。
古いためらい傷も治療可能ですか?
古いためらい傷も十分に治療可能です。傷跡は、傷ができてから約6ヶ月以内の「初期の傷跡」と、6ヶ月以上経過した「古い傷跡」に分けられます。初期の傷跡はまだ定着していない状態なので、治療が少し容易な面があります。
しかし、6ヶ月が過ぎれば、1年であろうと、10年であろうと、20年であろうと、治療方法や結果はほぼ同じようにアプローチできます。したがって、古い傷跡だからといって治療を諦める必要はありません。
治療を通じて得る最大の喜び
患者様が治療を通じて自分の傷跡が良くなるのを目の当たりにすると、そこに希望が生まれます。そしてその希望は自信へと繋がり、ひいてはこれからの人生に対する希望と勇気を奮い立たせてくれます。このような変化を見守る時、医療スタッフとして最大の喜びを感じます。
ご両親の役割、何よりも重要です
思春期のお子様にとって最も辛い時期は、ご両親との関係に起因することが多いです。この時、ご両親の役割は何よりも重要だと言えます。
過保護すぎたり、過度な期待をしたりするのも良くありませんし、逆に無関心や放任も良くありません。結局、最も重要なのは正常な愛情です。執着でもなく放任でもない、お子様をありのまま尊重し、愛する気持ちが必要です。
現代社会では、このような「正常な愛情」を実践することが難しいご両親が多いと考えています。したがって、ご両親もまたお子様との関係構築に関する教育を受ける必要があると見ています。
